Home > THE SOUND OF CADENCE > SOC72 > ケイデンスの新しいマーケティング・ビジョン「EDA360」
ケイデンスの新しいマーケティング・ビジョン「EDA360」
-Profitability(収益性)向上に向けた新たなアプローチ-
| ケイデンスは4月27日、「EDA360」と呼ぶ新しいマーケティング・ビジョンを発表し、エレクトロニクス業界に対するEDA の役割について再定義を行い、従来目指してきた「効率化 (productivity)」向上に加え、「収益性(profitability)」の 向上に向けた新たなアプローチについて提唱を行いました。 |
| 業界のトレンドと収益性向上へのチャレンジ |
| リーマンショックによる不況を乗り越え、エレクトロニクス業界にもようやく少し明かりが見えてきました。不況の間にも、クラウド・コンピューティング、第4世代モバイル通信、3D映像技術など、今後業界を牽引する新たな技術に関する話題が増えています。また、それに呼応するように、最先端のプロセス世代は40ナノメータから32/28ナノメータへと移行準備が始まっており、半導体設計の複雑度、難易度は確実に高まっています。携帯電話からiPhone/Xperiaなどのスマートフォンへの進化、ラップトップPCからネットブック、電子書籍など機器の携帯化はますます進み、半導体の低消費電力化への要求は引き続き高まるばかりです。また、RF、高速IO、モデムなど、多くのアナログ機能がワンチップに搭載されることにより、ほとんどのSoCにおいてミックスシグナル設計が必要となっています。 |
| 20年余りの間、ケイデンスはEDA業界のリーダとしてお客様の設計効率化(productivity)向上への取り組みを支援してきました。論理検証、論理合成、設計検証、配置配線、サインオフ解析、物理検証、回路検証、DFMなど単体製品の性能、品質の向上に努めると共に、それらの単体製品をシームレスに組み合わせることによって低消費電力設計、ミックスシグナル設計などの設計トータル・ソリューションを提供してきました。また、最近は、検証IPラインアップの充実化、検証プランに沿った検証マネージメント環境、SoC企画段階におけるチップ見積り環境などを提供し、設計見通し(predictability)を向上するための様々なソリューションも提供しています。 |
しかし、このような半導体技術開発発展の一方で、32nm以下のプロセスでは半導体開発費用が数十億円にも達し、半導体事業の収益性(profitability)に黄信号が点灯し始めています。半導体設計自体の複雑化に加え、半導体ベンダーは、半導体と共にドライバ・ソフトを始めとするソフトウェアの提供を求められており、それらの開発費が今後収益性に益々大きな影響を与えることが危惧されています。そのような状況の中、収益性を確保できる半導体の開発品種は減少し、半導体業界においては、半導体設計を最初から行う「creator」としての仕事よりも、過去の設計の再利用と共に、ソフトウェアをも統合して提供する「integrator」の仕事が増加していくと思われます。 Creatorにおいては、引き続き高性能なチップを設計するための効率性(productivity)向上を追求していくことが求められますが、一方integratorにとっては収益性(profitability)が最大の関心事になっていくであろうと予測されます。EDAは、creatorの皆様に対して設計、検証、インプリメンテーションに関する技術を引き続き提供し、「productivity」向上に寄与していくと共に、integratorの皆様に対しては、“integration-optimized”な(=統合作業を最適化する)IPの設計・選択、SoCやシステムへの統合技術、システム・コストの最適化などに寄与する新しい技術を提供することで、お客様の「profitability」、すなわち収益性=製品競争力向上に対して貢献していきたい、というのが、ケイデンスが提唱する新しいマーケティング・ビジョン「EDA360」の根本的な考え方です。 |
| 「EDA360」を具現化する3つのアプローチ |
| 効率化(productivity)に加えて収益性(profitability)の向上に寄与する、というEDA3 6 0のビジョンを具現化するために、System Realization、SoC Realization、Silicon Realizationという3つのレベルにおける新たなアプローチを提唱します。 (図1) |
![]() |
| *はケイデンスが供給している/いく技術分野 |
| 図1:EDA360コンセプトを具現化するアプローチ |
| 1) | System Realization |
| 従来はハードウェアがまず開発され、その性能に合わせてソフトウェア(ミドルウェア、アプリケーション)の開発が行われる、というケースがほとんどでしたが、今後はアプリケーションの仕様からハードウェアおよび付随する基本ソフトウェアへの要求がトップダウンに定義される“application-driven”なアプローチが求められるようになっていきます。そのためにハードウェアおよび付随する基本ソフトウェアは、application-independent、re-configurableであることが求められ、SoCのintegratorは、アプリケーションの要求に応じて、“必要十分”な性能を満たすハードウェアおよび基本ソフトウェアを「収益性の最適化」という観点の下で提供していくようになります。System Realizationおよび必要となるEDA技術に関しては、次の記事「システムの実現(System Realization)とはなんですか?」でも紹介していますので、併せてご参照ください。 |
| 2) | SoC Realization |
EDA360のビジョンにおいては、SoCの開発・提供は単なるチップ開発ではなく、アプリケーション要求とハードウェア性能をマッチングさせる上でも重要な役割を果たすドライバ・ソフトウェアの同時開発・提供を意味します。上述の通り、SoCはアプリケーションの要求に応じてreconfigurableでなければなりません。そのため、SoCの構成部品であるIPは、SoC統合作業の効率化にも配慮しつつ、以下の成果物を1セットで提供される必要があります。
|
| 3) | Silicon Realization |
| Silicon Realizationは、非常に複雑で大規模なアナログ&ミックスシグナル・ブロックの開発を意味します。今後デジタル設計は勿論、カスタム設計においてもますます効率化および収益性の向上が求められます。これまでもE DAは、Silicon Realizationのための設計自動化に寄与してきましたが、さらに今後デジタルおよびミックスシグナル設計のために下記の技術開発が求められます。 設計効率化のための技術
|
| 「EDA360」を実現するための業界エコシステム |
| EDA360のビジョンを達成するには、EDAベンダー、組み込みSWベンダー、IPベンダー、ファウンダリ、そしてお客様を交えた協業の拡大が必要です。 例えば、上述のIPベンダーとのパートナーシップを活用した“integration-optimized”IPの提供もその一例ですし、ケイデンスが先日発表したWindRiver社バーチャル・プラットフォーム環境とCadence Incisive Software Extentionとの統合によるソフトウェア開発の見通し(preditability)向上もSystem Realization実現への一歩です。 |
| 以上が今回発表したケイデンスの新しいマーケティング・ビジョン「EDA360」の概要ですが、さらに詳細については、vision paper(英語版、32ページ)、インタビュー・ビデオなどが掲載されているケイデンスの専用ホームページ(http://eda360.com)が開設されていますので、ぜひご参照ください。 また、7月22日、23日に明治記念館にて開催するDASHOW/CDNLive! Japan 2010での基調講演においても、EDA360についてご説明いたしますので、ぜひご来場ください。 |
| フィールド・マーケティング本部 田中 厚 |