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THE SOUND OF CADENCE Vol.72 (June 2010)

システム設計とミックスシグナル設計のGAPを埋めるMATLAB/Simulinkと
Virtuoso Multi-Mode Simulationのインテグレーション

システム設計とミックスシグナル回路設計間のGAP
システム設計段階で多く使用されているツールとして、TheMathWorks社のMATLABがあげられます。Mコードや各種アプリケーション向けのToolboxを使用し、システム設計段階のアルゴリズムやアーキテクチャ検討を可能にしています。
次にミックスシグナル回路設計に目を向けてみると、デジタルの部分は、RTLからのトップダウン設計が実現されていますが、アナログ回路に関しては、近年Verilog-AMSといったアナログ記述言語が広まっているとは言え、依然としてトランジスタ・レベル中心の設計になっています。
過去にもシステムレベル・ツールと回路シミュレータとのコ・シミュレーションを可能にするテクノロジはありましたが、シミュレーション性能の大幅な違いから、目的を達成できずに埋もれてしまった歴史があります。依然として、システムレベルの設計とミックスシグナル設計は、完全に分断されているというのが現実です。

Simulinkと回路シミュレータとのコ・シミュレーションを
実現可能にするリアル・バリュー・モデリング(RVM)
Simulinkと回路シミュレーションのコ・シミュレーションを実現するためには、いかにアナログ側のシミュレーションを高速化できるかに依存します。従来のトランジスタ・レベルの抽象度では不可能です。Verilog-AMSによるアナログ動作の抽象化、Wreal信号を使用したRVMによるシミュレーションの高速化も可能になりました。RVMは、アナログとデジタル・シミュレーションのよい点を集めた手法です。信号値はリアル・バリュー(実数値)を使用し、アナログのような連続の表現、時間は不連続に扱い、不連続なイベントで信号値を評価する方法をとります。アナログのシミュレーションにデジタルのシミュレーション・エンジンを利用することが可能となり、高速なシミュレーションを実現しました。これによりSimulinkとのコ・シミュレーション性能を大幅に向上させることができます。

MATLAB/SimulinkとMulti-Mode Simulation
(MMSIM)のインテグレーション機能
Simulinkを使用し、システムレベルのブロック図とテストベンチが作られます。そしてシステムレベルのデータ・フロー解析とシステムレベルの機能検証がされます。
このシステムレベルの設計からは、回路設計に有効な多くの成果物が得られます。まず、テストベンチです。システムレベルの検証に用いられたテストとそのテスト結果は、それ以降の設計段階で使用することのできるゴールデンなテストと期待値になります。
次にシステムは、アナログ、デジタル、RFのサブブロックにパーティションされ、各設計者に渡され、Multi-Mode Simulation(MMS I M)を使用した検証が行われます。MATLA B/SimulinkとMMSIMをリンクする3つのソリューションがあります。
1.Simulink interface with AMS Designer
AMS DesignerとSimulinkとのコ・シミュレーションは、システムレベル設計から回路設計に移行する過程で、より詳細な回路設計向けの仕様作成に有効です。Wrealモデルを使用することで、Simulinkモデルと、AHDL(Verilog-AMS)やトランジスタの抽象度の間に、もう1つの抽象度モデルを使用し、システム全体のシミュレーションを可能にします。Simulinkモデル⇒Wrealモデル⇒AHDLモデルで全体シミュレーションを行い、アナログ回路設計に必要な実行可能な仕様書を作成し、それ以降は、その仕様に倣い回路設計を進めることを可能にします。
2.Simulink interface to Spectre XL
Spectre XLのSimulinkインタフェースは、Simulinkのシステムレベルの機能ブロックをRFブロックに置き換え、Simulinkのシステム・シミュレーションと同時にSpectre XLのRFエンベロープ・フォロウィング解析の実行を可能にします。
3.MMSIM toolbox for MATLAB
RFICやアナログ・ミックスシグナル設計者は、Spectre XLやAMS Designerを使用してサブシステムをシミュレーションできます。そしてMMSIM toolboxを使用しMATLAB上でポストプロセスとビジュアル解析を可能にします。

まとめ
電源ICなどミックスシグナルICは複雑さが増しており、機能や性能の最適化にはシステムレベルの設計が重要となります。そしてシステムレベルでのインテントをいかに回路設計まで伝えられるかが重要です。SimulinkとMMSIMのインテグレーション機能によって、システムレベルから回路設計までのシームレスな設計を可能にします。

カスタマ・プラットフォーム・マーケティング部
 浅利 和彦